ラブ・ネバー・ダイ 2/2 12:30公演
【劇場】日生劇場
[音楽]アンドリュー・ロイド=ウェバー [作詞]グレン・スレイター [劇作・脚本]アンドリュー・ロイド=ウェバー / ベン・エルトン [出演]石丸幹二 / 濱田めぐみ / 田代万里生 / 夢咲ねね / 香寿たつき / 熊谷俊輝 / 他
パリ・オペラ座の失踪から10年。ジリー親子の助けを得てニューヨークに移ったファントムは、コニーアイランド一帯の経営者となり財をなしていた。
クリスティーヌの幸せを願い一度は彼女の前から姿を消したファントムだったが、その想いが消えることはなかった。
一方、ラウルと結ばれたクリスティーヌは一児の母となり、高名なプリマドンナとして活躍していた。
一家の幸せに影を落としたのは、ラウルがギャンブルでつくった多額の借金だった。
そんな折、クリスティーヌにニューヨークで催されるコンサートへの出演依頼が舞い込む。
借金返済のため、仕事を引き受ける決意をしたラウルとクリスティーヌ。
息子グスタフを伴い渡米した彼らの前にファントムが現れ、隠された衝撃の真実が明らかとなる…
流石のロイドウェイバーと言うべきか曲が本当に美しいです。もはや変態的な美しさ。
絶対歌うの難しいだろうなあ…!と思います。
でも皆さん歌いこなしてました。素晴らしいキャストで観られて嬉しい!
濱田めぐみさんのクリスティーヌ、最高すぎる。Look With Your heartsもLove Never Diesも包み込むような優しさがありながら圧倒的で涙が出ます。
サビの高音が全くキンキンしないというか、完璧に制御されていて文句のつけ所がないです。
希望に溢れ、夢見るクリスティーヌではなく、色々と苦労しながら家族を愛する今のクリスティーヌを素敵に演じられてました。
ファンテーヌも絶対に素晴らしいものになるでしょう!
ラウルとグスタフを愛しながらもファントムを忘れられないのは切ないです。ただクリスティーヌはおっとりしすぎ、流れに身を任せすぎ!もっと言いたいことをはっきり言って~と思いました。
石丸さんは歌が素晴らしいのはわざわざ言うことでもないですが、今回はかなり曲数が多い中、最後まで迫力ある歌声を聴かせていただきました。
年老いて哀れなファントムに終始肩入れしてしまいましたが、彼が引き起こしたことなので、もっと円満に済む方法はなかったのかと考えてしまいます。
グスタフについて衝撃の事実が明かされますが、すぐにラウルに話そうとするのはどうかと思いました😭💦
グスタフに嫌われないことを願うばかりです…
万里生さんの滑らかな歌声やハイトーンボイスは2幕で沢山聞けました!嬉しい~なんだかんだ万里生さんの舞台をコンプリートしてるかもしれない。
ラウルは10年たって王子様ではなくなってしまいました。ダメ夫ですが妻の過去や、音楽を理解する息子に対しサッパリ分からない虚しさによってギャンブルにハマってしまったと考えるとかわいそうでした。
ずっと真実を隠されてきたのに妻を怒らず、静かに姿を消したのを見ると心根の優しさは変わってないのかなと思いました。お人好しすぎるのかもしれない…ラウルは普通の美人と結婚した方が良さそうです。
グスタフの歌は本当に難しい…特にThe beauty underneathが。この曲大好きなんですよね~
熊谷くんは透き通るボーイソプラノで素晴らしかったです。美しい…とファントムと一緒に聞きほれてしまいました。
髑髏城の七人 月 上弦
WOWOWにて放送された髑髏城の七人 月 上弦を観ました。
[作]中島かずき
12/16(日)16:00 柿澤・松下ペア
シアターウエストへ
池袋は少し遠いと思ったが副都心線で行くとシアターウエストへすぐに辿り着くことができた。200人程度の狭めの劇場。スリル・ミーを上演するにぴったりの規模だ(そのためチケットは激戦になってしまったけれど・・)
後ろの方の座席でも十分近く感じる薄暗い劇場内。開演5分ほど前から客席はシーンとしている。まるでふたりを待ち構えているかのような緊張感があった。
ピアニストの朴さんが出てきてunderscoreを弾き始める。何度もCDで聴いた音。既に感極まりそうだった。夢にまで見たスリル・ミーが始まる!
隠された真実
下手の後方から通路を通ってのっそりと「私」が現れる。反応が鈍くて何を聞かれても答えたくありませんという感じがある。刑務所の生活にうんざりしているし今更媚びを売るきはさらさらない。「また同じ話を・・」という時とても嫌そうで、蒸し返されるのはごめんだという感じ。
年取ってる演技が上手い。ため息が似合う。彼の話をするときはほんの少しだけ声が明るくなったような。CDに尋問の大半は入っていなかったので初めて聞く情報に驚きました。
僕はわかってる
早着替えでジャケットに着替え双眼鏡を覗きながらバードウォッチングを始める。遠くを見ては楽しそうにメモを取るレイが可愛い。
その背後に「彼」がこっそり忍び寄ってくる!足音を立てないようにそろ〜っと!無表情だけど。
そしてバッと抱きしめる。わ!というけど彼だとわかるとすぐに笑顔になって立ち上がる。健気!松下くんのレイは健気さが溢れてる。でもかなりモッサリしてて友達は少なそう。
かっきーはすごく不機嫌そうですぐにでもどこかに行ってしまいそうな彼。マッチを借りタバコを吸うときもつまらなそうに周囲を見ていて私には何の興味もない。私は必死に振り向いてもらうようアピールするけど響いてなさそうだった。
「8時だ。遅れるなよ。」の後の松下くん、一瞬彼を追いかけて、踏みとどまってぐっと溜めてから手すりにしがみつく芝居が好きすぎた・・どんな感情の動きがあったのかまざまざとわかる。浮かれたいけど彼がなんとも思ってないことも分かってる、聡い私なんだなと思った。
優しい炎
かっきーの歌が上手くてまず感動。やっぱりものすごく上手いです。。彼は炎に興奮してるようだけどそこまでの感情は見せない。私は彼の反応をすごく気にしていて手を添えられただけでびっくりしてるのに彼は本当にドライ!!もっとかまってあげてほしい。
松下くんとの歌声の相性抜群!ハモるところが美しくて息がぴったりあっている。今までの経験を感じさせる。彼が冷静でおとなしいのに対し私は結構全力で強めなので必然的に松下くんの歌の方が目立ってた。
契約書
彼からの連絡はありませんでした・・という松下くんが可哀想!50歳になってもその時の寂しさは忘れられないんだろうなあ。
部屋に忍び込んできた時は急にきてごめん・・でも少しは話してもいいよね?って感じで弱々しくて健気!なのに彼は無表情で、「なんで」「別に」って言い方が本当に冷たい。それでも頑張ってい続けようとする私よ、なんとかしてあげたい・・。弟にお願いする!というまで全然こっちを向いてくれないんだから辛い。私のタイプライターは契約書の内容に合わせながら打ってるよね。
ナイフで指を切ろうとする勢いがすごくてそりゃびびるわ!って思う。彼の指を切る動作は確かに手慣れててかっこよかった。
「これで二人は〜」って二人でお互いを見ながら歌うところがほんっとうに好き!!最高だ〜音程が一番暴れているというかトリッキーなんですよね。ここを聞くために何回も通いたいと思いました。
スリル・ミー
収穫品を出すと本当になんもいいものがなかったんだなあって顔ww
何度協力してあげても冷たいまんまの彼についに私もキレます!ここまで彼にあしらわれてはしゅんとしてた私だけにいきなり大声で訴えるシーンは迫力があった。このところ何にも感じないんだ・・といいながら本当に何も感じてなさそう。二人で同時にネクタイを外し、床に落とす。もったいぶっててエロいw
スリル・ミー!で思いっきり床に倒してからまた現在のシーンに戻るって初めて知った。どうしようもなく虚しい感じが伝わってくる。
計画、戻れない道
「思いついた。」と起き上がる彼は相変わらずクール。心なしか嬉しそうというか達成感みたいなもので落ち着いていた私を尻目にどんどん計画を語る。私は頑張って止めようとしている。止めようとはしているのだけど、じゃ、いいよ。もう会わない。と本当に去っていきそうな彼を前にするとすぐに決心が鈍ってしまうんだなあ。なんて一方通行な二人なんだ・・
ロープが細いと話す彼は今までで一番感情的だったような気がする。「お前の得意な仕事だろ!」とかとんでもなく楽しそうで。
松下くんは透き通った声で悲しそうに、もう戻れないと歌う。後悔がかなり感じられる。戻ることはできたはずなのに出来なかったから。目に涙が浮かんでいたような。
かっきーはリュックを勢いよく背負ってピクニックでも行きそうな装いwでも2階から出て行くときには無表情(というか真剣?)な表情になってた。
スポーツカー
ブウン・・と音がして後ろにオレンジのライトがつくと本当に車があるように見える。スリル・ミーは光や音の演出が巧みだと思った。今の場所や何が存在しているのかがとっても分かりやすい。
黒ずくめにコートでマフラーでほとんど顔が見えない彼ww普通に怖くて子供寄ってこないような気がする・・優しげな声をだして鍵をチャラチャラ鳴らしながら子供を誘っているんだけど端々に普段子供なんかちっとも好きじゃない不慣れ感があって。「いい名前だね。」とか何の感情もないんですけど!
よくこれで捕まえられたな。見た目はかっこいいお兄さんだからだろうか・・
超人たち、脅迫状
ああ〜めちゃめちゃに怯える演技が上手い松下くん。彼は結構はしゃいでる!で怯えてる私を見るとつまんね〜な〜って表情。すごい早口で指示を出す彼にやりきれない私。
しっかりしろ!とすごい怒る。もっと優しくしてあげて!超人たちのメロディーは興奮していながらも冷静に朗々と歌い上げていた。
「俺が誘拐されたら〜」のシーンは聞いた途端に気分を損ねているようだったので私がどんな回答をしても嫌な雰囲気になってそうだった。つくづく自分勝手な彼だ。。
僕の眼鏡/おとなしくしろ
眼鏡を落とした!と慌て始める私。予想以上に激しい慌て方でびっくり。今まで自分に関することには冷静な私だったので・・。それに対してあくまで冷静に対応しようとする彼だけどだんだんと余裕がなくなってくる芝居がとってもうまい。このナンバーはピアノも豪華でお互いに感情をぶつけ合うのですごくテンションが上がった!「いいな。切るぞ」って言い方が何個もバリエーションがあってすごい。「落ち着けよ、レイ」があんまり優しくない!これじゃ落ち着けない・・。
あとニュースが流れる前の音響で臨場感が生まれてると思った。どんどん追い詰められていくのを感じる。テンポも徐々に速くなっていくんだね。新聞ビリビリが見られて嬉しい。
「どんな状況にあるかわかるか〜」以降の流れがいいんだよね。松下くんの高音素晴らしい。
あの夜のこと
「いいか。何を聞かれたとしても答えは俺が教える!」ってすごくかっこよくないですか。かっきーが言うとなんか好きすぎてCD下さい!ってなった。(本当に欲しい)
できないよお・・って言う松下くんが本当にできなさそうで。演技できるようにはみえない。彼と別れた後に取り調べを受けるところは歌いながら、前に警官がいるみたいに答えるのがうまくて、「思い出せない!」の言い方が、嘘をついてるけど思い出せないという迫真の演技をしているという、演技って感じで松下くんすごすぎ。
公園でのシーンではもう私はほとんど彼を見限っているのではと思いました。「褒めてくれる?」って言い方が以前の健気な感じではなく、諦めてるけど一応言ってみた。って雰囲気だった。で、「ああ。よくやった」でほんの少しホッとしたのもつかの間。ちくしょう・・って言い方!!めちゃめちゃ怖い。逆ギレが激しい。今までの感情全てが怒りに全振りされたみたいに私を責め出す。お前のせいだ!とまで言う。だんだんと冷静になってきて私を見下してるようにけなす。
眼鏡を落としたのは私が悪いとはいえあんまりな言い方なのでもう自首するしかないなと思った。私が残した最後のチャンスを見事にぶち壊してしまってた。
僕と組んで
ここから少しづつ松下くんが怖くなっていきました。取り調べ室に入ってきた彼は悔しそうに扉を叩くけど、私がいることに気がつくと強気に戻って、私を責め出します。警察との取引をやめさせるために久しぶりに猫なで声でお願いする姿が完全に私をなめてるなと思った。
ちょっと松下くんだいぶキレてるけど大丈夫?!言う通りにするといって彼は安心していたみたいだけどもう私に以前のような愛はなくなってた。彼のことをじっと見て優しい言葉をかけながら、彼に勝利することを確信していた。
死にたくない
「怖いんだ」からかっきーは別人のようになりますw怖くて泣きそうなんだなあってのがよく伝わってきて哀れだった。頭を抱えて這いつくばって怯える。プライドも死の前では保つことができず、震える彼は天才からただの19歳に戻ってた。あまりの怯えぶりなので、屍体が見つかってから今までもずっと恐怖を感じてたけどレイの前では強がっていただけなのかもしれないと思った。
松下くんは神妙な顔で横を向いていた。悲しさというよりは虚しさが感じ取れました。
九十九年
怯えていた彼も護送車の中ではまだ自分を保っていた。死刑にならずにすみ気が緩んだのか、穏やかな表情で夢の話なんかし出す。「俺がなりたかったのはああいう弁護士だ。」冷静にきくと何言ってんだあんたが言うのかってなりそうなものなのに松下くんが「そうだったんだ」という声はあまりにも優しい。愛はなくなったかと思ったけどまだ捨てきれてはいないみたい。しかし「奇妙な鳥が二羽・・」で雰囲気は一変する。(このセリフCDにも入れて欲しかった。強烈じゃないか〜〜)
ついに私は彼に勝利宣言をする!これまでとは打って変わって語気が強い松下くんは「九十九年」と歌いながらかっきーに詰め寄っていく。それを見て恐怖したのか縮こまりながら離れる彼。もう十分怖がらせたのではwwと思うくらい私の迫力がすごかった。絶対に逃がさないという意思がすごい。彼は予想もしなかった相手に自尊心を根元から折られ、どうしていいのかわからない子供のようだった。
そのまま逃げるように階段を上っていく。
フィナーレ
さっきはあれほどしたたかだったのに、現在の私は過去の後悔や彼を失った悲しみから立ち直ることができていない。彼が死んだ時に後を追わなかったのが不思議なくらい気力がないので。釈放されても果たして自分の人生が歩めるのか不安だ。「こんな話、二度としたくありません!」と泣きながら訴えられてすごくやりきれない気持ちになった。こんなに悲しい話だったっけと思って泣けた。
彼は最後まで私のほうを向いてくれなかったし、逮捕されてまで手に入れたらすぐにいなくなってしまうなんて。スリル・ミーがバッドエンドなのはわかっていたけど実際見るとキツかった。
まとめ
スリル・ミーを見るまでは伊礼・田代さんのCDを聞き込んでいたので、伊礼さんよりは私を愛してる人間味のある彼だろうと予想を立ててたんだけど見事に裏切られました。冷たい!!冷たすぎる彼。そして健気すぎる私。
私のことをちっとも大切にしていないのでうまくいくはずがないのですが見た目がすごく兄弟っぽくて昔は仲良かったんだろうなあと思えるので、何故こうなってしまったの、という悲しさがありました。力関係が最後に180°変わった時の松下くんは恐ろしかったです。今までは彼に合わせておバカさんを演じてきてたけどいつでも彼を上回れる力はあったんだなと思います。
感情の起伏が少なめな彼に対して終始強めだと感じました。 今回はクールな彼という役作りなのかもだけどもっとバンバン押して来る彼も見たいなあと思いました。
初回なので細かく考察してみたけど正直スリル・ミーが観られた感動が大きすぎてあまり覚えてないところが多い。とにかく、再演に踏み切ったホリプロさん、関係者の皆さんと役者さんには感謝しかありません。松下・柿澤ペアよ永遠なれ・・!
どうしても書きたいこと
普段から観劇を趣味としておりずっと観たかったのがスリル・ミーという作品。
再演まで4年ほどかかりましたがやっと2018年冬に観ることが叶いましたので
忘れないうちに書いておこうと思います。